アダルトゲーム
'''アダルトゲーム'''(和製英語:'''adult game''')は、性的表現があるために成人向けに販売されているコンピュータゲームソフトのことを指す。通常、18歳未満の者への販売が条例や業界の自主規制により禁じられている。特に断り書きがない限り、日本での事例について述べる。暴力的・反社会な表現などがあるために一定の社会規範性をユーザーに求めるゲームについては、成人向けゲームの項を参照。また、過度の暴力表現などを含む成人向けゲームについては、残酷ゲームを参照。
概要
今日のアダルトゲームのほとんどは、Microsoft Windowsをプラットフォームとするパーソナルコンピュータ(PC、以下パソコン)向けソフト、すなわちパソコンゲームとして発売されている。男女問わず、青壮年層を主たる購入対象とするタイトルが中心であり、コンピュータソフトウェア倫理機構による公式名称は「'''R18ゲーム'''」であるが、俗に「'''エロゲー'''」「'''エロゲ'''」とよばれる。
1980年代の業界黎明期から「'''美少女ゲーム'''」という呼び方もある。ただし、特にパソコンゲームにおいて「美少女ゲーム」という表現を用いる場合には、主人公・主要キャラクターとして魅力的な美少女キャラクターが複数登場するが性的描写のシーンが無いノンアダルト作品や性的描写を回避しつつも美少女の育成や恋愛要素が主眼である「ギャルゲー」をアダルトゲームとは別区分として指すこともあるほか、性的描写を含む「成人向けゲームソフト」についても女性プレイヤー向けに美形男性キャラクターの同性愛を描いた「ボーイズラブゲーム」、女性視点で描かれる「18禁乙女ゲーム」、男性プレイヤー向けに少年愛を描いた「ショタゲー」、男性同性愛者向けにゲイ雑誌に通じる表現技法で同性愛を描いた「ゲイ向けゲーム」なども存在するため、「アダルトゲーム=美少女ゲーム」という構図は単純には成り立たない。
販売に当たっては、メーカー間の自主規制や各都道府県の青少年保護育成条例等により、18歳未満の人物が購入することのないよう販売店における陳列の分離や販売時の年齢確認を徹底するよう通達がなされている。次のエントリ
特徴
ゲームジャンルは、アドベンチャーゲーム・ビジュアルノベルが圧倒的に多く、育成シミュレーションゲーム・シミュレーションRPG・アクションゲーム・RPG、シューティングゲーム等は珍しい。グラフィックについては、日本ではマンガ・アニメ調の平面的な2次元コンピュータグラフィックスによる静止画像がそのほとんどを占め、3次元コンピュータグラフィックスのキャラクターを用いた作品は存在するが少数派である。海外のアダルトソフトでは一般的なポルノ女優によるヌード実写映像の作品は少ない。
受動的に鑑賞するアダルトビデオやヌード写真とは異なり、主にマウス操作による登場人物の行動選択という形でのインタラクティヴな体裁を取り、現実の代替物ではなく独立したリアリティであり「萌え」「感動」「ノスタルジー」などとコミになった性的満足として存在している。このことから、日本では特有の発展を遂げた漫画・アニメなどのサブカルチャーと結びつかせる要因となり、資金や知名度の乏しいクリエイターやその集団が創作を行う場として定着し、「成人向け作品として必要量の裸と“場面”を出しておきさえすれば、後は予算・納期の範囲内で自由にクリエイターが創作意欲を満たせる」という、かつての日活ロマンポルノと類似した制作システム構造を成立させるに至り、日本のおたく文化の一翼を形成した。今日ではゲーム業界のみならずアニメ・漫画・小説などいわゆるメディアミックス関連業界全般への人材・コンテンツの供給源の1つとしても機能している。
アダルトゲームの場合、ソフト開発作業は一般的な仕様のパソコン及び汎用ソフトウェア開発キットで大半が可能である。また、「家庭用ゲーム」とも呼ばれるコンシューマゲーム機では発生するハードウェアメーカーへのライセンス権使用料や開発専用機器の導入にかかる高額なコストが無いため、比較的小資本での制作も可能である。
コンシューマゲーム機と比較した場合にはハードウェアメーカーによる干渉が無く、販売対象を成人に限定していることから、性的描写以外の部分においても表現の自由度が高いことも大きな特徴である。たとえば古典的な恋愛小説や純文学の様式表現を追求したい作品では、あえて性描写を含めてパソコン向けのアダルトゲームのフォーマットで制作されることが多い。これはあえて児童層をターゲットに含める必要性が無い作品の性質の他、コンシューマゲーム機においてはライセンス権やゲームソフト流通を掌握管理するハードウェアメーカーがかつては独自基準、現在でもCERO準拠とはいえ独自のチェック項目を設定しており、各種表現への制限が厳しい上に、作品やシナリオの持つ文芸的要素などは考慮対象にされず、根本的に性行為を想起させる要素は含ませられないというネックがあり、資金・人材・技術の面で制作が可能であっても現実には販売不可能な一方で、後述するような制作システムが構築されビジュアルノベルとそのゲームエンジンが発展しているアダルトゲームならば制作が容易で受容されやすいことなどが大きな要因になっている。次のエントリ
歴史
アダルトゲームの、歴史に関する部分を解説する。次のエントリ創生期(1980年代)
1980年代はPC-9801シリーズを初めとする国産パソコンによって、パソコン市場が拡大しており、拡大する市場を狙って勃興したソフトウェアメーカーにより様々なコンピュータメーカーがゲームソフトを開発・発売、この中でアダルトゲームも制作された。しかし、この当時のパソコンでは、8色ないし16色といった表示能力から、専ら塗り絵ないしアニメ調の絵との親和性が高い半面、写真のように取り込み画像の再現性は著しく制限を受けるという性能的限界もあって、ビットマップ画像などラスタ形式ではなく、ドローイングに頼ったものであった。その結果、グラフィックや、まして音声で性的興奮を煽るようなものではなく、単に性的な事象を画像と文章で連想させる程度であった。8ビットパソコン用ソフトとして発売された『ナイトライフ』( 光栄マイコンシステム(現:コーエーテクモゲームス))が「性」を取り扱った最初のソフトウェアとなる。ただし同ソフトウェアは、受胎期間の計算や体位の解説を行う「夫婦生活をサポートする」ためのユーティリティであり、性的興奮を目的としたものではなかった。
しかし「性」という日本社会では「秘め事」として余り表立って扱われることのない内容に関した同ソフトウェアが確実な売り上げを出し、ソフトウェア業界にはその方面の需要が潜在的に存在していることが印象付けられた。このため、エニックス(現:スクウェア・エニックス)など後にコンシューマーゲームで名をはせるソフトメーカーから、PSK(パソコンショップ高知)・九十九電機のような現在のパソコンショップもアダルトゲームの制作・販売に参入、より性的な内容に特化したソフトウェアの開発が進み、翌には10本以上のアダルトゲームが販売された。1980年代半ばにはアダルトゲームの制作販売を専門とするジャスト、チャンピオンソフト、キララ等のソフトメーカーが現れ始めた。そして現在のアダルトゲームの元祖といわれる『天使たちの午後』( ジャスト )が登場し、アダルトゲームにキャラクター性とストーリー性盛り込むという形式の原型が生まれた。しかし、当時はまだゲームオーバーが存在したり、話の流れがだれしも一様であったりと物語としては稚拙な面も存在した。
また、同時代にはこのほかに脱衣麻雀に代表される”コンピューター版野球拳”のようなゲームもあり、ゲームの内容とは無関係に性的画像を表示させ、その一点のみをもってアダルトゲームに分類され、専用のコーナーに陳列されていた製品もみられる。このジャンルではゲームセンターにおいて、『ジャンゴウナイト』( 日本物産 )が、アーケードゲーム初の脱衣麻雀として登場し、「脱衣もの」というジャンルが確立された。
この時代、社会一般の認知度は特殊な再生媒体によるポルノ作品で「ほぼ無視ないし無名」といった状態であった。このため業界共通の性的描写に関するガイドラインは存在せず、性的描写は各企業の裁量に任されていた。しかし、に、刑法177条(強姦罪)からタイトルを取った『177』(マカダミアソフト=デービーソフトの一部門)が、草川昭三により国会で取り上げられたことにより次第にアダルトゲームは問題視されるようになる、そしてに起こった東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件や、それに端を発した有害コミック騒動によってポルノ業界そのものへの批判が強くなっていく。次のエントリ
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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