性同一性障害
'''性同一性障害'''(せいどういつせいしょうがい、''Gender Identity Disorder'', '''GID''')とは、『生物学的性別(sex)と性の自己意識(gender identity、性自認)とが一致しないために、自らの生物学的性別に持続的な違和感を持ち、自己意識に一致する性を求め、時には生物学的性別を己れの性の自己意識に近づけるために性の適合を望むことさえある状態』をいう医学的な疾患名。やや簡潔に『性の自己意識(心の性)と生物学的性別(解剖学的性別)(身体の性)とが一致しない状態』とも。
同性愛、異性装等とは異なる。''を参照''
{| align="right" border=1 cellspacing=0 cellpadding=2 style="border: solid 2px #000000; margin-left: 16px"
|-
| colspan=2 align="center" style="border-style: none none solid; background: #f0f0f0"|性同一性障害のデータ
|-
| align="center" style="border-style: none none solid; background: #f0f0f0"|ICD-10
| align="right" style="border-style: none none solid solid"|F64
|-
| align="center" style="border-style: none none solid; background: #f0f0f0"|DSM-IV-TR
| align="right" style="border-style: none none solid solid"|302.85
|-
| align="center" style="border-style: none none solid; background: #f0f0f0"|統計
| style="border-style: none none none solid"|
|-
| align="center" style="border-style: none none solid; background: #f0f0f0"|世界の患者数
| align="right" style="border-style: none none solid solid"|不明
|-
| align="center" style="border-style: none none solid; background: #f0f0f0"|日本の患者数
| align="right" style="border-style: none none solid solid"|不明
|-
| colspan=2 align="center" style="border-style: solid none solid; background: #f0f0f0"|学会
|-
| align="center" style="border-style: none none solid; background: #f0f0f0"|日本
| style="border-style: none none solid solid"|GID学会
日本精神神経学会
|-
| align="center" style="border-style: none none solid; background: #f0f0f0"|世界
| style="border-style: none none solid solid"|WPATH
|-
| colspan=2 align="right" style="border-style: solid none solid; background: #f0f0f0; font-size:smaller;"|この記事はのを用いています
概要
人は、『''自身がどの性別に属するかという感覚、男性または女性であることの自己の認識''』を持っており、これを'''性同一性'''(性の同一性、性別のアイデンティティー)という。大多数の人々は、身体的性別と性同一性を有するが、稀に、自身の身体の性別を十分に理解しているものの、自身の性同一性に一致しない人々もいる。そうした著しい性別の不連続性(Disorder)を抱える状態を医学的に'''性同一性障害'''という。一般に、性別は身体や染色体によって決まるもの、身体の性と性同一性は一体のものと考えられてきたが、生まれつき染色体、生殖腺、もしくは解剖学的に性の発達が先天的に非定型的である状態にある性分化疾患の症例を研究するうち、身体の性と性同一性はそれぞれ別にあることがわかった。性同一性障害は、何らかの原因で、生まれつき身体的性別と、性同一性に関わる脳の一部とが、それぞれ一致しない状態で出生したと考えられている。
このため、性同一性障害を抱える者は、自身とは反対にある身体の性別に違和感や嫌悪感を持ち、生活上のあらゆる状況においてその性別で扱われることに精神的な苦痛を受けることが多いとされる。そうした、終生まで絶え間なく続く苦痛の無い、普通の生活を送るために治療を要し、時に身体や生活上において、自身と一致する性別への移行をすることがある。
日本では、こうした性同一性障害を抱える人々への治療の効果を高め、社会生活上のさまざまな問題を解消するために、平成15年7月16日に性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律を公布し、翌年に施行している。この法律により、定められた要件を満たす性同一性障害者は、戸籍上の性別を変更できるようになった。日本国外では、多くのヨーロッパ諸国、アメリカやカナダのほとんどの州で、性同一性障害者のために、1970年代から1980年代より立法や判例によって法的な性別の訂正を認めている。日本を含めこれらの国の法律は、性別適合手術を受けていることを要件としているが、新たに21世紀において立法したイギリスとスペインでは、性別適合手術を受けていることを要件とせずに法的な性別の訂正を認める法律を定めた。次のエントリ
定義
'''性同一性障害'''は、'''Gender Identity Disorder''' (''gender'' [性] - ''identity'' [同一性] - ''disorder'' [障害]) の訳語であり、医学的な疾患名である。国際的な診断基準として、世界保健機関が定めた国際疾患分類 ICD-10、米国精神医学会が定めた診断基準 DSM-IV-TR があり、医師の診察においてこのいずれかの診断基準を満たすとき、性同一性障害と診断する。日本の性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律では、同法における「性同一性障害者」の定義を、
としている。
日本における性同一性障害の診断と治療の指針である日本精神神経学会「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン (第3版)」において、
とある。
● FtM と MtF
生物学的性別が女性で、性の自己意識が男性である事例を「'''FtM'''」(エフティーエム、''Female-to-Male'')、生物学的性別が男性で、性の自己意識が女性である事例を「'''MtF'''」(エムティーエフ、''Male-to-Female'') と表記する用語がある。次のエントリ
性同一性とは
「'''性同一性'''」(性の同一性、性別のアイデンティティー)とは、医学界における “'''Gender Identity'''” (''gender'' [性] - ''identity'' [同一性]) への伝統的な訳語であり、『''男性または女性としての自己の統一性、一貫性、持続性''』『''自身がどの性別に属するかという感覚、男性または女性であることの自己の認識''』という意味をもつ。その他の訳語として「'''性の自己意識'''」「'''性の自己認知'''」「'''自己の性意識'''」「'''性自認'''」、カタカナ表記として「'''ジェンダー・アイデンティティ'''」があり、いずれもほぼ同義である。より一般的でわかりやすい表現として「'''心の性'''」がある。
人々のうち大多数の者の性同一性は、生物学的性別と一致する。身体が男性で性同一性は男性、身体が女性で性同一性は女性である。人々のうち性同一性障害を抱える者の性同一性は、生物学的性別と一致しない。身体が男性で性同一性は女性、身体が女性で性同一性は男性である。この『同一』とは、「心の性と身体の性が同一」という一致不一致の意味ではなく、アイデンティティー(同一性)、「環境や時間にかかわらず等しく変わらない」という意味においての『同一』である。性同一性障害は、性同一性そのものに異常や障害があるわけではなく、また性同一性が“無い”わけでもない。性同一性障害を抱える者も、そうでない大多数の者も、一様に人はそれぞれに性同一性を持っており、いずれも概して正常である。大多数の者は性同一性と身体の性とが一致し、生来からそれを疑うことなく意識しないほどに至極当然であるため、自身の性同一性を客観的に実感したり認識したりすることが難しい。
性同一性は、性的指向(恋愛の対象とする性別)とは切り離すことのできる概念であり、性同一性がどちらの性別であるかに関して、性的指向はその基軸にはならない。性的指向は相手がいることで成り立つが、性同一性はあくまで自分一人の問題、自己の感覚や認識である。人は物心ついた頃から、おおむね幼年期や児童期頃には(身体的性別とは別に)自己としての性を認識するが、その多くは他者に恋愛感情を持つことで初めて認識するわけではない。
性同一性は、単なる(社会的・文化的な)「男らしさ、女らしさ」とも別である。たとえば女性的な男性がすなわち性同一性が女性というものではない。「自分は男らしくない男性」と自覚していても、自己としての性の意識が男性であれば、性同一性は男性である。次のエントリ
性同一性の存在
'''性同一性'''('''性の自己意識・自己認知''')の概念は、性分化疾患(生殖器や性染色体などの身体的性別が非典型的な状態)の事例を解釈するため提唱されたことに始まる。多くの性分化疾患の当事者を長期に渡って見守るうち、身体とは別個にある「性の意識」、いわば「その人自身の真の性別」とも言えるその存在を認めるより他ない事例がいくつも生じたのである。人は得てして単純に、身体が男性であれば男性、女性であれば女性、という固定的な観念をもつ。性別の“完璧な”根拠として内外性器や性染色体を挙げる者もいる。しかし、では身体や染色体の性が生まれつき曖昧で、明確に性の判定ができない性分化疾患はどう考え得るか。内外性器も染色体も、男女どちらとも定められない事実を前に、人の性別はどこに存在し、何を根拠に性別が確定され得るか。性器や染色体が物的に曖昧であるからといって、その者の性の自己意識が“男女どちらでもない”というものでは決してない。たとえ性分化疾患の当事者でも、男性もしくは女性としての、どちらかの確かな性の自己意識を持っており、本人の自己意識も確かめずに周りの他者がその人間の性別を恣意に決定することはできない。現に、性分化疾患を患って出生した乳児が、その場の医師によって恣意的に性別を決められて手術を施され、“たまたま”反対の性別にされた当事者が乳児期以後、性の自己意識との不一致によって苦悩するという多くの実例があった。これは性同一性障害にも共通する苦しみでもある。実例の一つとして、外性器が曖昧であるという理由で、性の自己意識が女性であるのに、幼少期に男性の外性器を形成する手術を段階を分けて十数回も受けさせられ、女児はそのたび「感情の全てを徹底的に打ち壊されるような恐ろしい体験」をし、そして自身の身体に深い心の傷を負う。たとえばこうした性分化疾患の当事者に対し、他者が「医師が“何となく”であなたをその性別と決めて性器の見た目もそれらしく作ったのだから、その性別で生きろ」などと言えようはずもない。
この「性同一性」の概念が提唱された際、たとえ性分化疾患とはいえ、どこかに性別を客観的に判定し得る基準があるはずと考えられてもきたが、同じ性染色体の構成や内外性器の形態であっても、本人の性の自己意識は男性であったり女性であったりと一様ではなく、単純に染色体や身体では性の判定はできない。当事者の性の意識は性染色体や内外性器からも独立していることがわかり、けっきょく性別は本人の自己意識によって決定するほかない。性分化疾患を患った乳幼児に対する手術にいち早く警鐘を鳴らした学者らは、「脳も、性に関わる器官と認めなければならない」「人間の脳は男女差のある性的二形のものであり、乳幼児の性別を決めるという重大な決定がその後の本人に幸せをもたらすかは予測できない」と勧告した。
以上の事例や経緯によって、「性同一性(性の自己意識)」の存在、そして「身体の性」と「性同一性(性の自己意識)」はそれぞれ別個であり、ひとえに「身体」が人の性別を決定づける根拠とはならないことが明らかとなった。次のエントリ
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
別のワードで検索!
トレンドマガジン [マグゥ]で性同一性障害を検索






性障害 性同一性障害 :: 精神病総合支援 精神医療専門家に無料相談が ...