懲役
'''懲役'''(ちょうえき)とは自由刑のひとつであり、受刑者を刑事施設に拘置して所定の作業を行わせる刑罰のことである(日本の2項を参照)。日本においては自由刑として他に禁錮と拘留が存在する。
懲役の目的
懲役刑の特色としては、以下の目的が挙げられる。●隔離
犯罪者を一定期間社会から隔離することにより社会の安寧を図る。また犯罪者を被害者による報復や社会の疎外から保護する。
●抑止
長期間自由を奪うペナルティーを科すことにより、犯罪を割に合わないものとする。
●矯正
強制労働という苦痛を与えることによって再犯防止を図るとともに、生活習慣などの健全化や職業訓練ともなるため社会復帰に役立っている。次のエントリ
日本の懲役
日本の現行刑法では、懲役は刑の満期がある有期懲役と、刑の満期が存在しない無期懲役に分類され、有期懲役は原則として1ヶ月以上20年以下の期間が指定される(1項)。ただし、併合罪などにより刑を加重する場合には最長30年まで、減軽する場合は1ヶ月未満の期間を指定することができる(2項)。したがって、ある条文において「2年以上の有期懲役に処する」と刑の短期のみが規定されている場合には、裁判所は、原則として「2年以上20年以下」(加重した場合や死刑・無期懲役を減軽した場合には30年以下)の範囲内で量刑を行うこととなる。次のエントリ
懲役刑の内容
懲役には炊事・洗濯など刑務所運営のための作業である経理作業と、財団法人矯正協会が国に材料を提供し靴・家具などを製作させたり、民間企業と刑務作業契約をして民間企業の製品を製作させたりする生産作業の2種類がある。法律上、刑期の3分の1を経過することが仮釈放の期間的な条件となっており(刑法28条)、最短ではその期間の経過後に出所することもあり得るものとされているが、近年においては、刑期の長短にかかわらず、実際には受刑態度が良好な場合であっても、刑期の7割以上経過した後でなければ、仮釈放が認められない事例が多い。
なお、2007年度(平成19年度)の犯罪白書によれば、2006年(平成18年)に刑務所から出所した者の内、仮釈放を許された者は52.6%、仮釈放を許されず満期まで服役した者は47.4%である。次のエントリ
懲役の問題点
生産作業の中でも民間企業の製品を製作させる行為はILO条約が禁止する強制労働に当たるとの批判がある。ILO条約である「強制労働に関する条約」第4条では、権限ある機関が私人、会社、団体の利益のために強制労働を課したり、課すことを許可することを禁止したりしていることを理由とする。諸外国では、民間企業の製品を製作させる行為は労働者の雇用を奪い、一般向けに製品を製作させる行為は民業圧迫になるとも考えられており、刑務作業で製作された製品は官庁向けに限定している国もある。
また、作業報奨金は作業を行った受刑者に対して、釈放の際にその時における報奨金計算額に相当する金額の作業報奨金を支給するものとされている。労働の対価とは考えられておらず、2008年度では1人当たり月平均約4200円となっている。これは刑罰の内容として労働については対価という概念を想定し得ないことによるが、作業報奨金は出所直後の生活基盤となる資金でもあることから、矯正効果の向上や再犯防止の観点から増額を期待する意見もある。
刑務作業は景気の変動に左右されやすく、不況になると民間企業からの受注が減り、作業を満足に実施できないことがある。また、2003年(平成15年)には高松刑務所で中国製の手袋を受刑者にラベルを張り替えさせて日本製と偽るという不祥事も発覚している。
短期の懲役刑(6ヶ月程度)では、受刑者に施設内処遇者というレッテルを貼られることによるデメリットが、懲役期間中の教育効果を上回るのではないかともいわれており、出所後の再犯率が高いことから教育刑としての効果が認められないのではないかとの指摘もある。
元刑務官の坂本敏夫は 1965年ころ、受刑者が一般の工場で働く構外作業が廃止されたことを例に挙げ、責任回避のために事故を起こさないことが刑務官の目標となり、受刑者は技術を身につけることができず、社会復帰ができなくなったと指摘している。次のエントリ
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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