方言
'''方言'''(ほうげん)とは、ある一定の地域で使われる言語体系のことである。同一の言語が分岐して、発音・文法・語彙などの地域間の差異が見られる場合に、それぞれの地域で使われる言語体系を指す。また、より狭く、同一言語内での標準語・共通語に対立するものを指すこともある。方言と言語の関係
言語は変化しやすいものなので、地域ごと、話者の集団ごとに必然的に多様化していく傾向があり、発音や語彙、文法に相違が生じる。そのために、差異の程度が別の言語までには広がっておらず同じ言語の変種と認められるものの、部分的に他の地域の言葉と異なった特徴を持つようになったものを方言と呼ぶ。また、方言には同一地域内にあって、社会階層の違いによって異なる変種もある。しかし、言語学には「同語族・同語派・同語群の同系統の別の言語」なのか、「同一言語の中の方言」なのかを客観的に区別する方法はなく、言語と方言の違いは極めて曖昧である。国境の有無などのような政治的な条件や正書法の有無などを根拠に両者の区別が議論されることもあり、例外は多々存在する。
「言語」と「方言」に境界線を引くための指標としてしばしば引用される警句に「言語とは、陸軍と海軍を持つ方言のことである」(イディッシュ語: "אַ שפּראַך איז אַ דיאַלעקט מיט אַן אַרמיי און פֿלאָט" "a shprakh iz a dialekt mit an armey un flot", 英語: )というものがある。これは、自分たちが話す言葉がはたして「方言」であるか、それとも独立した「言語」であるかについての認識には、その言葉を使う共同体が独立国家を持つか否かといった政治的・軍事的要因に左右される面があることを示す。この警句はユダヤ人言語学者のマックス・ヴァインライヒの発言としてよく引用されるが、実際の発言者が誰であるかについては曖昧な部分が多い。
方言話者同士が会話する場合は、ある特定の方言そのもの、あるいはその方言を元にして新しく作られた'''標準語'''「標準語」と「共通語」について、ここでは次の意味で使用する。標準語:ある言語の中で、方言の差異による不便を解消するために、標準のことばを定め、コミュニケーションの基準としたもの。共通語:異なる言語の話者同士で、両者が共通して理解できる第3の言語。(これらの用語は、日本の国語学では次のような意味で定義されているので混乱されやすい。標準語:ある言語の中で、方言の差異による不便を解消するために、人為的に標準のことばを定め、コミュニケーションの基準としたもの。共通語:ある言語の中で、方言の差異による不便を解消するために、現実に使用されていることばで、コミュニケーションの基準となっているもの。この定義によれば「現在の日本には「共通語」はあるが「標準語」はない」となる)を使用してきた。次のエントリ
各国での方言の実例
「言語」と「方言」の境界が曖昧な事例は、世界中で見られる。近代(国民)国家と標準語政策
近代に至ってフランス型の標準語政策は国民形成、国民統合と国民国家建設に欠かせない要件として世界中の国々に受け入れられていく(後述する日本の標準語化政策も例外ではない)。次のエントリフランスの方言政策
絶対王政期のフランスでは、国家によってオイル語系の北フランスの方言を基にした標準語が定められ、それまで南部オクシタニアで話されるオック語系のプロヴァンス語などや、島嶼ケルト語系統のブルターニュ語など、標準フランス語とは系統の異なる地方言語を標準フランス語に対する方言と定義付けて、方言より標準語を優越させる政策が始められた。例えば、学校教育において、方言を話した生徒に方言札を付けさせて見せしめにするということが行なわれた。この制度は日本にも取り入れられた。
なお、アルザス語もフランス東部で用いられるが、これは言語学的にはドイツ語の一方言アレマン語に属する。次のエントリ
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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